児童書作家として人気のArnold Lobel。有名な「Frog and Toad」は読んだけれど、他にどの作品が面白いか知りたい、という方のため、筆者が実際に読んでみて本当に面白かったオススメ10作品をランキング形式で紹介します!。最後に語数やYLレベルのリストも記載していますので、多読にご利用ください。
評価は下記通り、私の個人的な評価です。
- 10~9 ☆ 超おススメ!(何度も読みたい)
- 9~8 ★ おススメ !
- 8~7 ◎ 面白い
- 7~5 ◯ 普通
- 5-3 △ いまいち
- 2-1 x おススメしない
1. Frog and Toad シリーズ(4冊)
評価10点(満点)
YL 1.2, 総語数 8,039語 (4冊)
Arnold Lobelの代表作。まずはこれを読んで欲しい。著者のファンになること間違いなしです。ちょっと抜けてるけれど愛嬌のある「がま君」と、優しく面倒見の良い「かえる君」。ほのぼのとして、読んでいて癒されるます。ぜひ大人に読んで欲しい作品です。文章は基礎的な文法が使われていて読みやすく、さらに音源もあって、初級者の勉強に最適です。
2. Owl at home
【The Guest】ある雪の寒い夜、暖炉のそばでバタートーストと豆のスープを食べるフクロウ君。ふとドアから音がします。開けてみても誰もいません。もしかして、かわいそうな「冬」が暖炉のそばに座りたくてノックしているのかも。どうぞはいって、ドアを開けてあげますが・・。短編5つを含むフクロウ君の生活を描いた本です
評価 9.5点
YL1.4, 総語数 1,980語
Frog and Toadと甲乙つけがたい、すばらしい作品。主人公のOwlの行動がかわいらしい。英語もシンプルで読みやすい。Frog and Toadが読み終わったら、ぜひ次に読んで欲しい。CDやAudibleの音源も何度でも聞きたくなるお勧めです。
3. SMALL PIG
農場に住む1匹の子ブタは泥遊びが大好き。農場主の夫婦は優しいし、小屋のそばには大好きな泥もある、とても幸せな環境でした。ある日、農場主の奥さんが大掃除を始めます。もちろん、汚れた子ブタも泥の水たまりも綺麗サッパリ。怒った子ブタは家出、居心地のいい場所を探して回りますがなかなか見つかりません。そうして、街に辿り着いた子ブタですが、トラブルが起こってしまいます。
評価 8.7点
YL1.2 総語数800語
まるで人間の子供のように喜怒哀楽を見せる子ブタが可愛い。そんな子ブタに愛情をかけるご夫婦も素敵。期待通りのストーリー展開だが、彼の作るキャラクターはやはりとても魅力的。短編でさらっと読めるので、多読初心者にオススメ。
4. Grasshopper on the Road
旅に出たくなったバッタ君。みつけた長い道に沿って、歩いていくことにします。道中、モーニングクラブを作った「カブトムシ達」や、リンゴの実を家にした「虫」、道を掃除をしている「ハエ」、水たまりでボートの船頭をしている「蚊」、毎日同じルーチンをしている「チョウチョ」、飛べることを自慢する「トンボ」に出会います。
評価 8.5点
YL1.2 総語数1,980語
「Frog and Toad」や「Owl at home」と同様、易しい文章で書かれていて読みやすい。特に最後の2話「チョウチョ」と「トンボ」が面白い。
毎日同じルーチンで生活しているとバッタに語るチョウチョ。最後に、明日も明後日も、ここにきて自分たちと話すようにバッタに言います。バッタは新しいことをしたいと急いで去っていきます。子供の頃より、生活がルーチン化してきたなと身に包まされる思いでした。
トンボは、歩くことしかできないバッタをかわいそうにと言います。自分たちは速く飛べるのだと。でもバッタは言うのです。道端に咲いてる花をみれるのだと。トンボは、そんな花なんて見てる時間はないと言います。速く忙しいのがはたしていいものか、考えさせられます。
5. Uncle Elephant
船旅に行く母親と父親ゾウを見送る子ゾウ。船は嵐に会い、母と父ゾウは帰って来ませんでした。そこに現れたのが叔父さんゾウ。うちにおいでと言います。叔父のゾウとの暮らしは楽しいけれど、やはり時々寂しく・・
評価 8.4点
YL1.3 総語数 1,700 語
父と母が船の嵐で帰って来ず、一人の残された子ゾウ、とういうなんとも悲しい始まりです。叔父のゾウの優しさと、子ゾウの寂しさが、なんとも切ない作品です。
6. Mouse soup
イタチに捕まってしまった1匹のネズミ。ネズミスープにされようとした時、ネズミはイタチに、お話を一緒に入れると美味しくなるよと教えます。そしてネズミはいくつかのお話を始めて・・。さて、ネズミはどうやってこの危機を回避するつもりなのでしょうか?
評価 8.3点
YL 1.2 総語数 1,339語
最後の章で全てのネズミの話が回収され、「なーるほど」という結末。英語も易しく読みやすい。ストーリーの面白さと、英語の勉強しやすさの点でオススメです。
7. A Treeful of Pigs
ある日、市場で何匹もの豚を買った農場夫婦。「育てるのは手がかかるわね」という妻に「一緒にやろう」という夫。しかし、次の朝、夫はベットから出てこようとしません。妻は、「豚の餌用にとうもろこしを植えて」とお願いしますが、夫は、「今日はやっといてくれ」答えます。「花のように、庭に豚が咲いた日にやるから」と。そして妻が起こした行動とは?
評価 8.2点
YL 1.2 総語数 838 語
毎日毎日、こんなことが起こったら僕がやるからと、全く豚の面倒を見ない夫に起こした妻の行動に、思わず拍手したくなる、なんとも痛快なお話。現代で言う、家事をやらない夫に妻が取った行動みたいで笑ってしまう。
8. The Great Blueness
この世界にある色は「黒」と「白」と「灰色」だけ。ある日、一人の魔法使いが「青色」を作ります。人々は素敵な色だと、こぞって青色を使い、世界は青色一色に。しかし、しばらくすると、人々は青ばかりの世界に気分が落ち込み笑顔がなくなります。これはいけないと、魔法使いが次に作ったのは幸せな「黄色」。あっという間に今度は黄色の世界になりますが・・・。
評価 7.5点
YL 2.3, 総語数1047語
魔法使いが世界の色を作っていく設定も面白い。魔法使いが色を作っていく様子も、また「絵」の色がどんどん変わっていくのも見どころです。1色の絵というのは意外とストレスで、色の魅力を改めて考えさせられます。2014年に本作品を含む4作品を掲載した「The Arnold Lobel Treasury」も発売されています。
9. Prince Bertram the Bad
意地悪でいたずらばかりの王子さま。王様も王妃さまも、お城の人も、街の人も、みんな彼に困っています。ある日、王子が石をぶつけたのは魔女でした。魔女は怒って王子をドラゴンに変えてしまします。人々は、獣みたいに振舞っていたからドラゴンになったんだと、毎日笑いに来ます。誰にも相手にされず、王子は悲しくなります。さて、王子は改心するのか、そして元の姿に戻れるのでしょうか。
評価 7.3点
YL 2.5, 総語数 811語
どこか美女と野獣の話を思い出させるような、王子さまと魔女の話。魔女の話が好きな方におすすめ。 2014年に本作品を含む4作品を掲載した 「The Arnold Lobel Treasury」 も発売されています。
10. Ming Lo Moves the Mountain
大きな山の下で暮らす夫婦。家は気に入っていましたが、山のことは嫌いでした。なぜなら、山から石が落ちてきて屋根に穴は空くし、山の影で日が当たらず、庭の野菜も育たないから。夫婦は、賢者に山を動かす方法を聞きに行きます。
評価 7.2点
YL 2.5, 総語数 1144語
トンチンカンな方法を教えられ何度も失敗する夫婦。最後どうオチをつけるのだろうと読み進めると、なんともうまい決着でした。
Arnold Lobes 作品リスト
紹介した10作品のリストと、その他ランク外になりました8作品の簡単な紹介です。お好みで読んでみてください。
タイトル | YL | 総語数 | 出版年 | 評価 | |
Frog and Toad are Friends | 1.2 | 2,275 | 1970 | 10 | ☆ |
Frog and toad together | 1.2 | 1,968 | 1972 | 10 | ☆ |
Frog and Toad All Year | 1.2 | 1,722 | 1976 | 10 | ☆ |
Days with Frog and Toad | 1.2 | 2,074 | 1979 | 10 | ☆ |
タイトル | YL | 総語数 | 出版年 | 評価 | |
OWL AT HOME | 1.2 | 1,491 | 1975 | 9.5 | ☆ |
SMALL PIG | 1.2 | 800 | 1969 | 8.7 | ☆ |
Grasshopper on the Road | 1.4 | 1,980 | 1978 | 8.5 | ★ |
Uncle Elephant | 1.3 | 1,700 | 1981 | 8.4 | ★ |
Mouse Soup | 1.2 | 1,339 | 1977 | 8.3 | ★ |
A Treeful of Pigs | 1.2 | 838 | 1979 | 8.2 | ★ |
Great Blueness and Other Predicaments* | 2.3 | 1047 | 1968 | 7.5 | ◎ |
Prince Bertram the Bad* | 2.5 | 811 | 1963 | 7.3 | ◎ |
Ming Lo Moves the Mountain | 2.5 | 1144 | 1982 | 7.2 | ◎ |
*The Arnold Lobel Treasury (2014)掲載作品
タイトル | YL | 総語数 | 出版年 | 評価 (/10) |
The Bears of the Air | 542 | 1965 | 7 | |
Prince Bertram the Bad | 2.5 | 811 | 1963 | 7.3 |
Great Blueness and Other Predicaments | 2.3 | 1047 | 1968 | 7.5 |
The Man Who Took the Indoors Out | 1.5 | 850 | 1974 | 6.5 |
その他作品
タイトル | YL | 総語数 | 出版年 | 評価 | あらすじ・感想 | |
The Bears of the Air* | 542 | 1965 | 7 | ◎ | 4匹の子グマとそのおじいさんグマのお話。「クマがすべき事」を教えようとするおじいさん。しかし、子グマ達はちっとも聞かず、得意なことをやってばかり。おじいさんは怒りますが、ある日、そんな子グマ達の特技に助けられます。 おじいさんグマの教える本が「THINGS A GOOD BEAR SHOULD DO」というのもクスりと笑えます。教科書通りでなくていい、得意なものを生かせば良いというメッセージも彼の絵本だと暖かく感じます。 | |
Mouse Tales | 1.2 | 1,505 | 1972 | 6.5 | ◯ | 寝る前の7匹の子ネズミに、お父さんネズミが7つのお話をするところから始まります。いろんなネズミのストーリー短編7つを含む1冊。英語は易しく読みやすい。展開がちょっと物足りなく感じた。 |
The Man Who Took the Indoors Out* | 1.5 | 850 | 1974 | 6.5 | ◯ | 大きな家に住む一人のおじいさんは、家具たちを愛していました。ある日、こんなに天気の良い朝に、家の中にしか居れないなんてかわいそうだと、家具たちを外に呼び出します。ソファーやテーブル、ドレッサーなど、家の中にいたあらゆる家具たちが動き出し外に出てきます。そして移動を始めますが、そのうちおじいさんを追い越し、どこかへ行ってしまいます。空っぽの家に帰ってきたおじいさん。おじいさんと家具たちはどうなってしまうのか。 |
On the day Peter Stuyvesant sailed into town | 2.5 | 666 | 1971 | 5 | ◯ | 主人公が到着した町は、道はゴミで溢れ、建物はボロボロ。綺麗にしろと言っても言うことを聞かない住人たちに、彼は怒り出します。震え上がった人々は、町を修繕するため働き始めます。 主人公「Peter Stuyvesant」は実在した人物で、ニューネーデルラント(オランダの植民地。現在のアメリカ東海岸)の総督に任命されアメリカにやってきたそうです。彼は、この地の中心地ニューアムステルダム(のちのニューヨーク)の発展に貢献したと功績が認められています。 子供向けに、ニューヨークの成り立ちを教えるような本でした。 総語数は少ないけれど、少し難しい単語も使われてます。 |
The Turnaround Wind | 1.5 | 1,130 | 1988 | 5 | ◯ | 強風が吹いて、持ち物や人々がごちゃごちゃに。絵が逆さ絵になっており、誰と誰が混ざったのかを探すのが面白い。 |
Fables | 3.5 | 5,376 | 1980 | 4.5 | △ | いろんな動物を主人公にした短編20の寓話。動物たちの失敗から教訓が提示。 |
Martha the Movie Mouse | 3.5 | 1200 | 1966 | 4.5 | △ | 住処を探し回るネズミのMartha.どこに行っても嫌われ追い出される中、映画館の映写室の男性が受け入れてくれます。 |
Giant John | 1.5 | 638 | 1964 | 4 | △ | 森で暮らす巨人のJohn。ある日、お城で雇われますが妖精のおかげでトラブルに。 ちょっと展開が物足りなかった。 |