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洋書「The Report Card」を読んでみた。天才少女の計画とは?

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この本はこんな人におススメ

学校物が好き

同著者「Frindle」が面白かった

YL3~4レベルの本をもっと読みたい

英語のレベル

読みやすさレベル(YL) 4.5

総語数 31,001

同著者の「Frindle」より少し分厚いですが、レベル的には同程度。Frindleが読めたら、こちらの本も読めると思います。

主な登場人物

  • Nora:主人公小学校5年生の女の子。天才少女。周りに天才であることを隠している。
  • Stephen:主人公の同級生。親友の男の子。成績はいまいちだが、何でも一生懸命やる優しい子。
  • Mrs.Byrne: 図書館の先生。Noraの才能に最初に気づきサポートする。
  • Mrs. Hackney: 校長先生。成績主義、Noraの行動に激怒する。
  • Dr. Trindler:生徒指導のカウンセラー。NoraにIQテストを実施。Noraに(標本として?)興味津々。
  • Mom&Dad: Noraの両親。子供達の成績に高い関心を持つ。Noraの才能には気づいていない。
  • Ann & Todd: Noraの姉(Ann)と弟(Todd)。Annは成績優秀のリーダータイプ。Toddの成績はそれなり。

あらすじ・内容

Noraは、自分が天才であることを親にも先生にも友達にも隠して生活をしています。周りの子供を観察し、ちょうど平均的な子供のふりをしているのです。

4年生になった頃、彼女は親友のStephenの様子が変わり始めたのに気づきます。自分は頭が悪いと思い込み、辛そうにしているのです。彼だけでなく、周りの子供みんなが成績や点数ばかりを気にしし、頭の良い悪いが物差しになっていました。

5年生になったNoraは、突然テストでひどい点数をわざと取ります。通信簿の評価は、一つだけC、あとは全部Dです。これを家に持って帰るNora。さあ、彼女の大計画のスタートです。

ここが好き! 見どころ

天才であることが皆にバレれてしまったNora.今度は逆に、授業で自分の才能を見せつけます。しかし、受けるテストは全て0点。校長先生は激怒してNoraにこう言います。

あなたのその才能(gift)には責任が伴うのよ

才能のことを英語でギフトというのは、素敵ですよね。確かに、後天的に取得した能力ではない、生まれつきの才能というものはあり、一部の人に偶然発現したものだと考えます。それこそ与えられたギフトで、ぜひ皆のために使って欲しい能力です。校長先生が言う事も理解できます。

これに対してNoraの考えはこうです。

「校長先生の言う事は正しい。私には責任がある。ただし、その「責任」が何かというのは、先生と私では考えが違う。

Noraは、才能には「責任」が伴うことを受け入れた上で、何に使うのかというのを考えているんですね。そして、それは校長先生の言う、良い成績を取ったり、飛び級でどんどん先の勉強をすることではないと。私が小学生なら、「自分の才能の使い方を、他人にどうこう言われたくないわ!好きにさせてくれ!」と思い、皆のために使おうと「責任」を受け入れるのすら時間が掛かりそうです。

そして、この本の一番の見どころは、味方である図書館の先生(Mrs.Byrne)のスピーチです。終盤、先生や教育長、先生方、親が集めらえた会議で、とうとうNoraは停学を言い渡されます。しかし、ここでMrs.Byrneが彼女たちを弁護するのです。

Mrs.Byrneのスピーチは、論理的で的を得ており、Nora達の行動の意味をきちんと説明してくれて、もう「反論したい事、先生が全部言ってくれた!」という、スカッとした気持ちにしてくれます。ぜひ楽しみに読んでみてください。

本の感想

この本では、同著者の作品「Frindle」や「School Story」のように、生徒の思惑以上に事が進んで、最後は大団円、というわけではありませんでした。2つの本のような展開を期待して読むと、この本のストーリーと結末には、少しがっかりするかもしれません。

ただ、やはりこの本でも味方になってくれる大人が活躍すること、また「成績」のあり方、「評価の仕方」という教育面で、一石を投じた本だと思いました。

多読をされている方で、YL3-4レベルの語数を稼ぎたい方には、Andrew Clementsのこの学校ものシリーズを読んでいくのは良いトレーニングになると思います。

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