仕事、結婚、家族。日常生活のすべてが管理された世界で、人々は平和に暮らしていた。争いもない、安全で効率的な社会システム。しかし、そのために人が捨てたものとは。果たしてそこはユートピアか、それともディストピアか。
『The Giver』 英語レベルと語数
オススメ度
YL 6.0 (中級者)
総語数43,139語
TEOIC 800点以上あれば、分からない単語や文章はあるものの、ストーリーは十分に追えると思います。
『The Giver』の内容・あらすじ
主人公は、もうすぐ「12歳」になるJonas(ジョナス)。父と母と妹の4人家族と平和に暮らしています。ジョナスの最近の気がかりは、もうすぐ行われる「12歳の儀式」でした。彼の住むコミュニティでは、1年に50人の子供を産み、12月に行われる儀式で全員が一緒に1つ年をとります。しかし「12歳の儀式」は他の歳の儀式と違って特別です。「職業」が任命されるのです。
彼はコミュニティに1人しかいない、特別な役割を任命されます。「The Receiver」です。現在の「The Receiver」から、ジョナスは少しずつ’Memory(記憶)’を受けとっていきます。
彼が受け取ったのは、人類が捨てた「Memory(記憶)」でした。それらを捨て去ることで、現在の世界が成り立っていたのです。記憶を受け取ったジョナスは、この世界の本質を知り驚愕、反発心が生まれます。
果たして人類が捨てた’記憶’とは?
そして、記憶を受け取ったジョナスが起こした行動とは?
『The Giver』の著者と作品
アメリカの女性作家Lois Lowry作、1993年のニューベリー賞受賞作です。彼女は、1989年にも「ふたりの星」で同賞を受賞しています。子供時代、敗戦直後の日本に3年間住んでいたことがあり、駐留軍の居住区からたびたび抜け出しては、外の世界、日本の町をうろついていたそうです。後に、この経験が本作「The Giver」のヒントになったと言っています。
この本は、4部作で「The Giver」はその1冊目です。「Gathering Blue」「Messenger」「Son」と続きます。電子書籍(Kindle)で4冊セットで安く入手できます。
まとめ
設定があまりに想定外で、「いったいこの世界はどうなってるの?」と先を読みたくなる作品でした。本では「Memory(記憶)」と表現されていますが、私達が想像するただの「過去の知識」ではありません。
難しい単語も多くありましたが、圧倒的な設定の面白さと、この世界の少しの違和感から、増していく異常感へと引き込むストーリーで、最後まで読み切らせてくれる作品でした。
ストーリーが引っ張ってくれるので、中級、もしくは初中級でも読めるかもしれません。ぜひチャレンジしてみてください!